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2025/05/20

勇敢な決定

~社長とは、「経済に関する危険を伴う意思決定をする人」である。~

 経営者は勇敢に、潜在する可能性に取り組んでいかなければならない。危険を恐れてはいけない。
 凡庸な経営者は、危険を理由にして革新を避けようとする。可能性は、それが革新的であればあるほど、危険も大きい。危険を伴わない決定など、会社の将来に、たいした影響のない、次元の低い決定である。
 革新的な決定は、危険だけではなく、同時に社内の抵抗や批判も多いのだ。部下が悲鳴をあげたり、尻込みするような決定でなければ、すぐれた決定とはいえないのだ。
   (日本経営合理化協会 一倉定の社長学第2巻「経営計画・資金運用」より引用)

 今月、アメリカ視察ツアーに出かけ、同行した他の経営者の方々と話をする中で、改めてこのフレーズを思い出しました。
 インフレ、トランプ関税、戦争など、環境が激変する現在にあって、何も我が社の革新的決定に興味がなく、過去の成功にしがみついているとしか思えない経営者ではダメだと思う部分については、どの経営者にも賛同されることでしょう。
 しかし今回考えたいのは、我が社に必要な「革新的意思決定への決断」だと現経営者が考えた事案に対し、様々な反対に合うケースの場合です。
 先ずは、先代経営者に反対されるケースです。反対する理由は、必要資金面、地域内の別の経営者への影響・世間体や先代経営者が成功したビジネスモデルからの乖離などで、「まだまだおまえはわかってないな」との強い反論として助言されるケースです。
 次に、顧問税理士など経営の相談相手と考える方から反対されるケースです。多くの他社を見てきた方からの反対はかなり尻込みをしてしまうはずです。
 そして、資金調達をする金融機関などから反対されるケース。決断しようとする経営者が頼りにしている借入先金融機関からされる反対は、必要資金を絶たれる結果でもあり前に進むことが困難な状況になります。
 そんなときにどうされますか。「やっぱりな」と止めてしまいますか。
 先代経営者の方針は時代からずれてきているのではないか、経営の専門家ではない税理士などが本当に大切な革新的経営のことをわかっているのだろうか、金融機関は我が社の革新的意思決定に本当に向き合っての回答なんだろうか、と自分の中では不信感を感じながら、迷いと葛藤の中での取りやめの発言ではないでしょうか。
 彼らの助言は通常は全く的外れではなく、指摘される側面は必ずあるとの理解をした上で、感情的な反発や中止ではなく、これから獲得していくべき顧客の形を再考し、投資回収計算も再考して、冷静に必要な修正を加えていくことが大切でしょう。そしてうまくいかなかった場合の最悪シナリオの覚悟も計算し、その覚悟の上で前に進むことが優れた決定となるのではと感じます。
 理由は、社長とは、「経済に関する危険を伴う意思決定をする人」であるからです。
所長による経営随想コラム R0705号

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