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2026/05/08

心をベースとして経営する

 京セラは資金も信用も実績もない小さな町工場から出発しました。頼れるものはなけなしの技術と28人の信じ合える仲間だけでした。
 会社の発展のために一人一人が精一杯努力する、経営者も命をかけてみんなの信頼に応える、働く仲間のそのような心を信じ、私利私欲のためではない、社員のみんなが本当にこの会社で働いて良かったと思う、すばらしい会社でありたいと考えてやってきたのが京セラの経営です。
 人の心はうつろいやすく変わりやすいものと言われますが、また同時にこれほど強固なものもないのです。その強い心のつながりをベースにしてきたからこそ、今日までの京セラの発展があるのです。・・・
 しかし、創業当時、何も頼りになるものがありませんでした。私自身も、経営そのものが分かっていません。そのために毎日、何を頼りにして生きていこうか、どうやって仕事をしていこうかと、不安でたまりませんでした。お金もないし、私の技術もまだ頼りないと悩んでいる時に考えついたのが、「籟りになるものは人の心だ、これしかない」ということだったのです。つまりたった28人しかいない従業員だけれども、その28人が本当に心を一つにして働いてくれるということ以外に自分には頼れるものはないのだ、と思ったわけです。
                           (京セラフィロソフィ 稲盛和夫著 盛和塾事務局 より引用)

 最近、忙しさにかまけて、本を読まない生活が続いていたところ、古い本が出てきて読み返しました。京セラフィロソフィです。その中の「経営のこころ」の1番がこの内容です。
 インフレに中東問題の中、従来の経営を変化させ、時代に合わせる戦略にスピードをもって取り組む必然性が大となりました。できなければ、昨今の社員給与のベースアップの実現さえ難しくなる、そしてそれを怠ると中堅社員の退職が始まる、優秀な人材不足が加速する、・・・。見つけた京セラフィロソフィは、今の経営にどう通用するかです。
 社員にとって望ましい会社とは、先ずは、人並みの給与・昇給は前提ですが、社員にとって自分の未来が見えてくる会社なのではないでしょうか。社員の未来とは、我が社の将来がどの方向に向かい自分の将来がどう設計できるのか、自分の未来を現在の上司と重ねたときに納得できるものなのか、とそんな視点で考え進めるものではないでしょうか。
 ホワイトすぎる会社やハラスメントにおびえる上司をみて、自分の未来として良しとはしないのではないのかと思うところです。
 うちの会社には何も考えていない社員が多いよと言われるかもしれません、しかしそうでしょうか、自分の成長を切望する社員は必ず居るはずです。稲盛さんの「心をベースに」という表現は、プラス思考で会社の課題に共に取り組める方法論かなと、課題に共に取り組むことで将来への希望と心地よさ・楽しさを会社の風土として作り上げ、上司・部下共に成長を目指す組織へと作り上げることのできる方法論なのではと思います。
 昭和の時代の話ではないのかと思うかもしれませんが、今の時代だからこそ、欠落してきた部分を戻すことも有用と言えるかもしれません。少し熱くなることを真顔でできる組織、それができる社員が居れば、共に成長に向かって進めるように思います。
 改めて考える価値のある取り組みのように思います。
                                           会長による経営随想コラム 2026.5号

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