コラム・動画配信
2025/12/01
お客様が欲しいのは「モノ」ではなく「問題の解決」
-市場とは「ウォンツ」「ニーズ」で成り立つ-
コンテンツを考えるうえで、手がかりとなるのは「市場」です。・・・要は、その商品を求めている人の数がどれくらいいるのか、ということ。これを「ウォンツとニーズ」と言います。
①ウォンツ:手段
②ニーズ :問題
たとえば、「ミネラルウォーターが欲しい」。これは手段です。一方で、問題はなにかというと、「喉を潤したい」です。つまり「喉を潤すために、ミネラルウォーターが欲しい」というのがウォンツとニーズになるのです。商品とはあくまで、手段です。実際に商品を売ることを考えるときは、問題に着目しなければなりません。
広大な砂漠のど真ん中で遭難したとしましょう。灼熱地獄のなか、水筒の水も底を尽きた。喉がカラカラでもう死にそうだ。そんなとき目の前に行商人が現れ、ペットボトルの水を1本10万円で売っています。法外な価格ですが、それでもあなたは迷わず買ってしまうのではないでしょうか。つまりお客様に「どうしてもあなたの商品が欲しい」と言わせれば、こちらの勝ちなのです。
勝つための方法はきわめてシンプル。あなたが「問題を発掘する」、それだけです。
人はなぜ商品を買うか、という根底には「問題の解決」が存在します。・・・
人が商品を買う理由は、すべてにおいて問題の解決です。不安、不便、不満、苦痛など、私たちは日々なにかしらの課題や問題に直面して生きています。
コンセプトを考えていくうえで、性能や品質のみで勝負をするのはナンセンスです。
というのも、素材、技術などの開発は大手メーカーが圧倒的に有利だからです。大規模な研究機関や製造拠点を独自に持ち、それに伴う特許も多数取得しています。人材、資金力も含め、中小企業はなかなか太刀打ちできないと言えるでしょう。そうした意味でも、「問題解決による競合との差別化」が重要になります。
差別化とはつまり、問題解決の新しい切り口をいくつ出せるかにかかっています。加えて、他の誰もが気づいていない問題を発掘する。この考え方がもっとも重要です。
(非常識なマーケティング大全 小山竜央著 株式会社KADOKAWA より引用)
BtoCビジネスを中心としたマーケティングについて易しく書かれていますが、愛知県に多い下請製造業などのBtoBビジネスにおいても改めて考えるべき内容であるはずです。
昨今の人件費だけでないコストプッシュに関し改めて継続した値上げが経営の重要課題にもなってきました。実現できた会社と実現に苦労している会社との差も大きくなってきました。我々中小企業経営者は、我が社は客先の「問題(ニーズ)の解決」に本気で貢献できているのかの視点で再度事業の見直し定義を行い、客先ではできない、単に「安い」以外のニーズによる切り口を持ち、我が社が無くなっては困る会社であるべく「経営者の覚悟」を持っての交渉の実現が、最終的には双方にとってWIN-WINの関係になるはずです。
これは経営者でしかできない出番でもあります。事業の定義はできていますか。
所長による経営随想コラム R0712号