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2025/11/04

習慣1 あなたの北極星を作る

 「ジョブズは、過去の製品に依存するのではなく、前進するためにマッキントッシュに集中すべきだと考えた」と説明している。「しかし、スカリーは、既存の製品からできる限り多くの金を稼ごうと考えた」
 ソニーの新社長と同様、スカリーはコスト削減の方法を模索し始め、見事に成功を収めた(その後8年間で売上高は4倍、利益は8倍に増加)。1993年就任の後任者マイケル・スピンドラーは、彼のアプローチを継続し、3年間で売上をさらに50%伸ばした。
 しかしその後、ソニーと同様に、アップルも転落を避けることができなかった。売上高は1995年から1997年にかけて突然落ち込み、約10億ドルの損失を出した。アップルは必死で生き残りを図る中で、解雇された後にジョブズが設立したNeXT社を買収し、その後ジョブズを再雇用した。
 ジョブズのアップルへの復帰は、アップルの運命を一変させたという神話が生まれたが、実際はそうではない。事実はジョブズが型破りではなく、伝統的な企業に近い戦略を導入したことがその主な要因で、初期の数年間は地味なものだった。彼は製品ラインを15から3へとスリム化した。また、彼がiMacを発売し、マルチカラーのバリエーションを用意したのは事実だが、これは最先端のイノベーションというよりは、間違いなく「いつものビジネス」だった。
 ジョブズが2001年にiPodを発売してから、アップルは文化的な大変革を経験し始めた。新しいデバイスが普及するまでには2~3年かかったかもしれないが、一旦普及すると売れ行きは急上昇した。2007年には年間5000万台のiPodを出荷するまでになった。
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 アップルの成功は、単に革新的な能力から生まれたと考えたくなるかもしれない。しかし、それは物語の半分しか語っていないことになる。人々の体験する世界を変えたいというジョブズの野心こそが、革新的な変化を生み出す原動力だったのだ。
(センテニアルズ”100年生きる組織”が価値をつくり続ける12の習慣 小山竜央監修  KADOKAWA より引用)

 本書は、「100年以上続くような組織(=“百年組織”)が持つ習慣・哲学」を世界の有名な組織(例:NASA、Apple、All Blacksなど)を分析しながら提示したものです。そして、経営者にとってのキーポイントを「12の習慣」としてまとめたもので、その中の、習慣1「あなたの北極星をつくる」(一時だけの成功ではなく持続可能な成長を)から引用した部分です。短期的な利益追求だけではなく、使命・コア(揺るぎない価値観)を守りながら長期的な視点で、変化に向き合うことが大切であり、コアを犠牲して売上と利益を追求することでは代償が大きい、コスト削減や新市場への旧製品の投入といった戦略では、イノベーションを阻害し陳腐化を招いてしまったとする例示でした。
 では、大手ではない中小企業でもそうなんだろうか。コアを大切にせず又はコアを持たずに利益を出すことに社員を集中させることでは、長期的には社員のモチベーション維持が続かず、中小企業におけるイノベーション、お客様が感じるイノベーションを目指すことが企業の成長・維持に繋がるものとなると思います。そして、それは社員にとってもやりがいを感じる企業へと繋がり、社員の成長にも繋がるものであると私は思います。
所長による経営随想コラム R0711号

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