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2024/04/05

内外作区分

~不況の時に、外注品を内製に切り換えなければならないようならば、
わが社の事業に何か大きな欠陥がある。~

 内製するか外注するかは、単なる「コスト」の問題ではなく、高い次元の戦略的視野からの決定でなくてはならない。外注比率を高めると、売上増大にも関わらず損益分岐点の上昇がわずかなので、外部要因の変化に対する弾力性が大きくなり、企業の安定度が増大する。
 どの会社を見ても、外注工場に対する明確な方針などはなく、外注担当者が「内作で間に合わない部分だけ外注する」「小型外注のほうが安い」という程度のことしか考えない。
 外注利用ほど、会社の安全性と収益性を同時に向上させるものはないのであるから、社長は自らの会社の内外作区分についての、明確な方針と目標を持たなければならない。
  (日本経営合理化協会出版局 一倉定の社長学第5巻「増収増益戦略」より引用)


 久しぶりに数年前に引用した一倉先生の本からですが再度抜粋しました。
  コロナ後の中で、金融環境が大きく変化し経営環境もインフレ方向へシフトし始めています。また、今年の春闘では、大手ですが給与水準の満額回答といった言葉も聞かれるようになりました。中小企業にあっても、ベースアップに真剣に取り組まなければ、採用はおろか、大切な現社員も転職してしまう事態が始まっています。
 ビジネスを考えるに、内製化に舵を切ろうにも、実施できる人材確保は困難、海外からの派遣・実習生確保も難しくなってきています。「AI」とか「自動化」の言葉が氾濫していますが、ここへの取り込みを行うにはもう少し時間が掛かるように感じています。
 この厳しい労働環境下で決断できる方針は、内製化の逆ですね、自分でやらない選択肢を真剣に考えるべきです。要らないで済む作業ならやめる選択を、機械やシステムでできるものならばコストを掛けても導入する、それでも必要なものを外注化する、これが手順かと思います。
 さらに、外注先に対して、もっと踏み込んだ関係に進化させていくことが必要でしょう。外注を単なる下請けとして考えるのではなく、我が社の不足する経営資源を持ち、我が社と共に新たなビジネスの取組みを実現できる「キーパートナー」として考えていく、さらにその関係性を広げていくことで双方のビジネスの深化に繋がっていく関係に導いていくことが重要であると感じます。
 経営陣・社員・外注先との間で、共に成長していける仕組み作りが最も有効で効果的な時代になってきていると思います。
所長による経営随想コラム R0604号

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