コラム・動画配信

2024/02/07

伸びる人は「問いかける力」をもっている

 他人に聞くということが、恥ずかしくてできないのだ。質問をするということは、自分のレベル、理解力が相手にあらわになる瞬間ともいえる。「こんなことも知らないのか」、「この程度のことを考えているのか」などと、自分の本当の力量をのぞかれたくないといった意識が働くのだ。
 このようなプライドは、自らを成長させていくという場合には邪魔になるだけだ。そのような球界で印象的だったのは、私が楽天の監督時代に、ソフトバンクのコーチだった森脇浩司だ。彼は楽天と試合があるときは必ず、試合前に私のところにやってきて、たくさんの質問をぶつけてきたものだ。
 それも、聞きたいことを事前に箇条書きにして、一つも漏らさぬといったふうに必死に食い下がってくる。常に疑問をもっている人間は、それだけ聞き出すことにも長けているものだが、森脇はそのいい例だった。私の時間を無駄にしないよう、効率的に知りたい情報をすべて得ようと、入念な準備をして私のもとに来ていることがすぐにわかった。
 研究熱心だった森脇はその後、オリックス・バファローズの一軍監督も務め、低迷するチームを立て直し、クライマックスシリーズ進出に導くまでの手腕を発揮したのだった。
         (「問いかけ」からすべては始まる 野村克也著 誌想社より引用)


 机を整理していたら読みかけの本が出てきました。折り目から読み進めた本が野村克也氏の本でした。
 前書きに、「人と組織が成長するために、何が一番必要だろうか?私がそう問われたなら、迷うことなくそれは「問いかける力」だと答える。」との記述がありました。
 時代の変化が始まっていると感じる中、迷う経営者も多く、オンライン研修が増えたこともあり、自分の迷いを表に出さないで一人で学ぶ経営者も増えているのではと感じています。
 それも確かに重要です。さらにです、つまらないプライドを捨て去り、わからないこと・知らないことを、わからない・知らないと言って問いかけをすることで、人はより成長に向かうものと信じております。
 社員への対応でも同じです。いちからすべてに「こうすべきだ」と自分の意見を押しつける形ではなく、問いかけをすることで相手の話をよく聞き、相手の思考を促す形に持ち込むことで、何も考えない社員から考える社員への成長に変革できていくのではと感じております。
 経営者管理者にとっては、わからないことをわからないと自ら聞ける姿勢、教える立場の方にとっては、相手の話をよく聞き相手に思考を促す姿勢(著者は、「指導」ではなく「問いかけ」と語っています)が、組織のコミュニケーションにも繋がるものと思います。
 社員との話は面倒がる、外では知ったかぶりをしてしまう、そんな経営者では、経営環境の変化に対応できる組織は作れません。もう一度自分の行動を見直し、社員も自分も成長できる姿勢をとってみましょう。活力ある会社が見えてきます。
所長による経営随想コラム R0602号

お問い合わせ

決算・確定申告や無申告・期限後申告における申告書の作成や税務調査の立会い依頼、事業承継や相続についてのご相談、
顧問税理士(税務顧問)をお探しならりんく税理士法人までお問い合わせください。

電話でのお問い合わせ
0566-48-1671 (平日 9:00~17:30 / 土・日・祝 休業)

FAXでのお問い合わせは 0566-48-1675