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2026/08/10

細心にして大胆であれ

 社会の進歩とともに、秩序が整ってくるのは当然のことであるが、それとともに新しい活動が始めにくくなり、自然と保守に傾くようになる。もちろん軽はずみな行動は、どんな場合でも慎むべきだが、あまりにリスクばかり気にすると決断がつかなくなり、硬直ししきって、弱気一辺倒に流れがちになる。その結果、進歩や発展を邪魔する傾向が生まれてしまう。個人においても、国家の前途に関しても、これはとても憂うべき事態といわなければならない。〔中略〕

 溌剌としたチャレンジ精神を養い、それを発揮するためには、本当の意味での自立した人とならなくてはならない。人に頼ってばかりだと、自分の実力を著しく錆びつかせ、最も大切な「自信」が育たなくなってしまう。この結果、ためらったりウジウジしがちになってしまわないよう自分に厳しくムチ打って、弱気になるのを防がなくてはならない。
 〔中略〕もちろん細心で周到な努力は必要だ。しかし一方で、大胆な気力も発揮しなければならない。つまり、細心さと大胆さの両面を兼ね備え、溌剌とした活動を行うことで、初めて大事業は成し遂げることができるのだ。
                               (渋沢栄一著、守屋淳訳『現代語訳 論語と算盤』ちくま新書 P214、216参照)   ※引用中の〔中略〕は筆者による。

 最近、退任役員に送ろうとしてAIに提案させた本が、渋沢栄一でした。

 今まで通りの経営が通用しなくなりつつあり時代の中、入手される情報も変化している時代。AI活用拡大、人件費増、多彩な転職採用サイト、新規設備投資、M&A、値上げ交渉、経営者は意思選択するための「情報不足」というより、むしろ、情報過多で決められない環境となっていることも想像されます。

 意思決定に先天的な発想で乗り切れてきた先代経営者と異なり、後継経営者には、情報を集めながら、決められない意思決定に悩まれているケースを見ることが多くなりました。

 「どうすれば儲かる儲からない」を第一に多くの情報に振り回され決められない状況となっているかもしれませんが、渋沢栄一は、この論語と算盤の主たる部分で、以下のように主張されています。
 「つまり、利益を得ようとすることと、社会正義のための道徳にのっとるということは、両者バランスよく並び立ってこそ、初めて国家も健全に成長するようになる、個人もちょうど良い塩梅で、富を築いていくのである。」
 とすれば、企業経営者には、①自社の市場・顧客を再度観察分析し、②顧客の立場に立つ行動を中心とする自社ビジネスを原点としてのビジョンに再構築、③ビジョンに合致する情報をきちんと集めて(細心にして)、④収益構造(計画)を概算でも計算した上で、⑤覚悟を決めて早く動く(大胆であれ)、ということが不変な経営行動として、どの時代でも必要なものではないでしょうか。

 わかりきったことです、と言われるかもしれません。であれば、今、予定しているチャレンジ行動はありますか、変化が激しい時代です、今、行動すべきことを大胆に決めてみませんか。
 

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