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2020/12/11
最も難しい決定
~社長の決定で最も難しいのは、「捨て去る」という決定である。~
私のコンサルティングのうちで、最も難しく、最も急ぐ事こそ「捨て去る」ことを納得させることなのである。
私は、社長の決定のうちで、何が最も大切で、何が最も難しいか、という問いに対して、躊躇することなく「捨て去る」ことであると答えるのである。
論より証拠、優秀な会社は例外なく「捨てる名人」であり、破綻した会社は例外なく「切捨音痴」である。
(日本経営合理化協会 一倉定の社長学第1巻「経営戦略」より引用)
今年も師走になりました。厳しい一年も終わろうとしておりますが、コロナ対応の先はまだまだ終わりが見えてきません。ところが、借入により資金を潤沢にし、雇用調整助成金で社員を休ませながら時期を待つ、これが習慣となるサイクルに入ってきた経営者はいませんか。また、適度な仕事量が戻ってきてなんとかそれで安堵し始めている経営者もいませんか。コロナショックは、オイルショック、バブル崩壊、リーマンショックなどと並ぶ「時代の変革時期」なんだと、4月、5月の頃に騒がれたことも忘れていませんか。何か行動を変えましたか、何か我が社の改革に手を付けましたか。
ある会社の話です。4月、5月は50%をはるかに超える売上の下落、このままでは潰れる現状、すぐに資金に手を打ち、資金が続く期間を算出、顧客及び事業改革に会社一丸で一心に動いた、そんな会社が10月単月、黒字を迎え、無理を強いた社員への冬の賞与支給を決めた。
限られた人材、限られた時間、限られた資金、今何をするため何を捨てるべきか、やめる作業、やめる取引、やめる費用を4月に棚卸をし実行、固定費を極限まで下げ、決めた改革に行動を集中した結果かと感じました。
人材に余裕を持つ会社なんて一つもないでしょう。改革の開始は「やめることを決めること」、今は、「時代の変革時期」、大きなチャンスであるのに、何もしないで助成金で喜んでいる事はやめて、まず、改革のスタート、やめることを決めて我が社を時代に合わせる改革に取り組みましょう。時代の変革はまだまだこれからです。
所長による経営随想コラム R0212号